2012年05月18日

英語の理解力と推測力


ITサポートの仕事はなかなか楽しいものでした。
自分でも分らないITの問題を手順書に沿って解決しゆくだけなのですが、電話の向こうの相手は僕のことをITのエキスパートだと思っていました。
そして僕も、問題に直面して不安になっている彼らを安心させるために、ITのことなら何でも知っているという振りをしてその対応に当っていたのです。

どうされました?大丈夫ですよ。今すぐ直しちゃいますね。

そう言いながら、全くちんぷんかんぷんな問題でも、僕は聞き取れたキーワードから急いでその問題を解決すべく手順書をデータベースから探し出すのです。
手順書はすべて英語で書かれていましたが、そもそもIT用語のほとんどはカタカナなので、その手順書を読むのに大して苦労はしませんでした。

そんなある日、いつものように僕が電話に出ると、その電話の相手は突然英語で問題解決の依頼をしてきたのです。僕は日本語専用ラインの担当だったので、それまで英語での依頼を受けたことがありませんでした。
どうやらその依頼主は、東京オフィスに出張で来ていた人らしく、東京オフィスから電話を掛けていたために僕の担当する日本語専用ラインに繋がってしまったようなのです。
戸惑う僕にお構いなしで、彼は自分の直面している問題を説明し続けました。
英語を聞く心の準備が出来ていなかった僕は、当然彼が何を言っているのかさっぱり分りませんでした。それでも、あるシステムの名称やパスワードなどの単語が彼の口から何度か繰り返されていることに気付き、きっとパスワードを忘れてしまったか、誤って入力してしまったため、そのシステムにログインすることが出来ないのだろうと僕は推測出来たのでした。
僕がそのシステム上の彼の情報を確認してみると、案の定、間違ったパスワードが3度繰り返し入力されていて、ロックされてしまっていたのでした。
僕はそのロックを解除し、彼に新しいパスワードを与えました。

無事に対応を終え、僕がその電話を置くと、すぐにまた彼からの電話が鳴りました。今度はメールが受信出来ないと言うのです。
先ほどの電話対応で僕の英語能力を知った彼は、今度は丁寧にゆっくりと問題の詳細を説明してくれました。
メールが受信できないという事象はよくあり、簡単な設定ミスによるものなので、僕は彼にその設定を変更するように伝えました。

右下にあるオフラインの表示をクリックしてオンラインに変更してください。

英語で書かれている手順書を僕はそのまま彼に読みました。
そして、メールを受信出来るようになった彼は、“アリガトウ”と日本語で僕にお礼を言って電話を切ったのでした。

ゆうすけ、英語でも十分対応出来るじゃないか。

僕が何度も英語で電話に出ているのを不思議に思ったのか、いつの間にかマネージャーが僕の後ろでその様子を窺っていたのでした。
感心したようにそう言う彼に、僕は何と応えればよいのか分りませんでした。
確かに僕はなんとか英語で対応は出来ました。しかし、それは自分で納得できる対応ではなかったのです。
鍵になる単語を拾って、僕は相手の意味することを推測していたに過ぎずません。相手の言っていることを理解していたわけでは決してないのです。

考えてもみれば、僕はいつもそうでした。
友人らと食事をしていても、僕は彼らの言うことのほとんどは何を言っているのかを理解していませんでした。
聞き取れたキーワードからそれまでの自分の経験と照らし合わせて、こんなことを言っているのだろうと勝手に推測していただけです。
そのため、前置きもなく突然される質問には間違えて答えてしまうことが多々ありました。

それでいいんだよ。ここには障害対応依頼の連絡しか入らないんだ。
それに相手はIT素人だ。彼らが何を言っているのか僕にさえ分らない時がある。それを推測するのも僕らの役目さ。

確かに、マネージャーの言う通りなのかも知れません。
日常の会話と違い、ここへ連絡してくる人と僕らの会話には、常に“ITの問題”という前置きが存在していました。
キーワードさえ拾うことが出来れば、そこから問題を推測するのはそれほど難しくはないようです。
日本語で受ける障害対応の連絡ですら僕にはちんぷんかんぷんなのですから。

今度、英語専用ラインが忙しい時、こっそり取ってみようかな。

僕は英語での電話対応もしてみたくなりました。
そしてその数日後、僕は実際に英語専用ラインの電話に出てしまったのです。
まさかそのことが、その後の僕の就職活動にとても大きな影響を与えるとは知らずに、僕はいたずらっ子のように英語専用ラインの電話に出ては、そのスリルを楽しんでいたのでした。

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posted by ゆうすけ at 09:38| Comment(2) | TrackBack(0) | ワーキングホリデー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!

すごい度胸ですね。私は性格上電話でのCS業務と言うのがどうも苦手なんですよね。日本語でも英語でも極力避けたい業務なんですよ・笑。見習いたい・・・。
その自信が、オーストラリアで生きていくには不可欠なことだと思います。続きが楽しみです。

Posted by at 2012年05月18日 18:23
> 結さん、
コメントありがとうございます。
1時間に1本ほどしか電話を取ることがなかったし、その殆どはPCを再起動すれば直ってしまうような問題だったので、僕にもなんとか出来ていたんですよ。
今はピザの注文ですらしたくはありません(笑)。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ゆうすけ at 2012年05月18日 19:18
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