2012年05月22日

そして、いよいよ電話面接です。


1、2、3 ・・・
僕は自分を落ち着かせるため、3秒数えてからその電話に出ました。
受話器から明るい女性の声がしました。
人事の人間だという彼女は、早口に僕が応募者であることを確認すると、僕にそのまま切らずに待つよう指示し電話を保留にしました。
そして、少ししてから再び彼女の声が聞こえました。
どうやら今度は電話のスピーカーを通して話しているようでした。彼女の声にわずかながらエコーが掛っています。
電話の向こうには、彼女の他にも何人かいるのでしょうか。彼女は僕ではない誰かに、ひそひそと話しをします。

こんにちは。
ゆうすけさんでいらっしゃいますか?
本日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます。

すると突然、丁寧な日本語を話す女性が電話の向こうに現れ、これから10分程度の電話面接を始めるという旨を僕に説明するのです。
てっきり英語での面接になると思っていた僕は、その突然の日本語に驚くのと同時に、それまでの必要以上の緊張が一気に解かれてゆくのを感じました。
彼女は、淡々と日本語で自分の紹介とその部署についての説明をしてくれました。そして、電話面接とは言うものの、彼女からの質問は、簡単に僕の職歴について尋ねられるものばかりで、答えに詰まるようなものは一切なく、僕はすっかり落ち着いて応答することが出来たのでした。

ありがとうございます。質問は以上です。とてもしっかりとした日本語をお話しになるので、私の方が緊張してしまいました。

彼女は最後にそう僕に言いました。
その彼女の言葉は、派遣会社の担当者が電話面接を不安がる僕に言っていた“簡単なスキルチェックだと思うから大丈夫だよ”という言葉を僕に思い出させました。
どうやら今回の電話面接は、僕の日本語の程度を確認するためだけのものだったようなのです。

なんだよ、だったら最初からそうと言っといてくれよ〜。

面接が終わって電話を置いた僕は、ぶつぶつとそう呟きながら勢いよくベッドに倒れ込みました。
ベッドのスプリングはとても柔らかく、力を抜いた僕の身体を何度か小さく跳ね返します。
なにはともあれ、僕は無事に電話での第一次面接をパスすることが出来たのです。
人事は、次の段階のことについてその午後にメールで連絡をすると言っていました。
今度はオンラインで性格適正検査を受けさせられるようです。
僕は枕を強く抱え込みました。何故なら、僕の身体は遅れてやって来た緊張と次の段階へと進む大きな期待から小刻みに震えていたのでした。

その午後に人事から届いたメールには性格適性検査のページへのリンクが貼ってありました。
メールにあったパスワードを入力するとその検査が始められるようになっていて、僕はさっそく検査を始めたのでした。
すべて英語での4択問題で、200問くらいはあるのでしょうか。
こんな場面に出くわしたら、あなたならどうする?というような問題がずらりと並んでいます。
また、それはいくつもの章に分れていました。
そして、最後の章は英語による英語の問題でした。
次の単語の意味を以下の4択からひとつ選びなさい、というような問いです。
どの単語も初めて見る単語ばかりで、僕には一問も分りません。
辞書を使ってしまえば満点を取れる章なのでしょうが、そんなことをしては全く意味がありません。
採用する側も、僕の英語力を電話面接で既に知っているはずです。
僕は仕方なく、適当に選択肢を選んでその章を終わらせるよりありませんでした。

その性格適性検査は、僕の期待をすっかりとしぼませてしまいました。
最後の章以外はなんとか自分の思う通りに答えましたが、それでもその選んだ答えが、その職種に適当な答えなのかもよく分りませんでした。
僕は終了のボタンをクリックしてその検査を終えました。
人事に返信メールでその旨を伝え、あとは人事からの連絡を待つだけです。
僕の身体はもう震えることはありませんでした。
久々に試験を受けて落第点をもらった、そんな気分でした。

それってさ、ただ参考にするだけで、あんまり重要じゃないと思うんだよね。

週末に台湾から帰国していたダニエルが、元気のなさそうな顔をしている僕を慰めます。
僕はダニエルに英語の章の問題を開いて見せました。
難しい単語がずらりと並ぶ問いを見て彼は驚いていました。彼も知らない単語だらけだったのです。
肩をすくめる僕に、ダニエルも一緒になって肩をすくめます。

とにかく、人事からのメールを待つしかないね。

確かにダニエルの言うとおりです。ここまで、僕に出来ることはすべてやりました。
電話面接では手応えを得ることが出来たことですし、あとは指をクロスして連絡を待つのみです。

しかし、いくら待っても人事からの連絡は来ないのでした。
一週間が過ぎ、二週間が過ぎ・・・、それでも連絡はありませんでした。

3月も中旬を過ぎ、シドニーは日々秋めいてきました。
僕にはまた、求人広告に片っ端から履歴書を送りつけなければならない日々がやってきたのでした。
また一からやり直しです。
ワーキングホリデーのビザしか持たない僕を雇ってくれるところがあるのでしょうか。
僕にはもうそうは思えませんでした。
僕はベッドに身を投げ出しました。柔らかいスプリングが僕の下で僕の身体を跳ね返そうとします。
僕はしっかりとベッドの上に自分の身体を押しつけ、暴れるベッドを押さえ込みました。
そして、ようやくベッドが落ち着いたその時、僕の携帯電話がけたたましい鳴り音とともに震えだしたのでした。

あー、ゆうすけ?この間の会社なんだけどさ、来週の月曜日、第二次面接に行ける?

それは派遣会社からの電話でした。
すっかり諦めていた僕は、その第二次面接の知らせに驚くばかりです。

じゃ、午後6時に調整しておくからよろしく頼むね。面接会場の詳細はあとでメールするから。

派遣会社の担当者はそう言うと、驚いている僕を放って電話を切ってしまいました。
僕の身体は再び小刻みに震え始めます。僕は無意識に枕を探しました。しかし、枕は見当たりませんでした。
仕方なく僕は、奇声を上げてベッドの上で暴れるのです。手足をバタつかせて身体の震えを誤魔化すのです。
僕は武者震いをしていました。それは第二次面接に対してのものなのか、それともこれから押し寄せようとしている大きな波に対してのものなのかは分りません。どちらにしろ、この機会を絶対に逃してはいけないと、そう僕には思われました。

ようやく落ち着いた僕は、揺れるベッドの上で天井を眺めながら、これからすべき事をいろいろ算定し始めていました。
その翌週に行われる面接を僕はもうパスするしかないのです。もう僕は跳ね返されてはいられません。
僕は、自分のありったけの英語力と知恵とコネとを総動員して、その面接に向かい準備を始めたのでした。


↓↓↓ブログランキング参加中です。いつも読んで頂いてありがとうございます! 今日もひとクリックお願いしまーす!↓↓↓

にほんブログ村 海外生活ブログ ワーホリへ
にほんブログ村
posted by ゆうすけ at 11:37| Comment(2) | TrackBack(0) | ワーキングホリデー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
ランキングからきました。
私も面接の時数回適正検査を受けさせられましたが、正直半分以上単語が分からず、実は知っている単語だけを選んでいました。
一応自分がどんな答えを出しているのか知っておかないと思いまして(笑
でも2回とも同じような結果が出たのがとても面白く感じています。
面接うまく行くといいですね!
Posted by まゆみ at 2012年05月24日 03:20
> まゆみさん、
コメントありがとうございます。
適正検査はある意味面白いですね。
そういえば、その検査の結果がどう出たのか、僕は聞かされていないなぁ〜。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ゆうすけ at 2012年05月24日 05:20
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。