2012年06月06日

諦めの海外生活


健康診断を受けた医療機関から届いた通知には、超音波検査及び心電図検査を含む専門医による診察が必要と書かれていました。診断書は専門医から直接その医療機関へ送付するように指示されていて、それは診断書の改ざんを防ぐためだと思われました。

そうは言われても、僕にはどこに連絡してそれらの予約を入れてよいのか見当もつきませんでした。
ダニエルによると、通常、専門医に診てもらうには、GPと呼ばれる一般開業医からの紹介状が必要で、どうやら僕は、GPにまずは予約を入れなければならないようでした。

面倒くさいなあ。

既に健康診断の結果をストレスに感じていた僕は、更に、慣れない英語でこれらのすべてを予約しなければならないことにうんざりするのでした。
そもそも僕には、そんな高度な英語力があるとは思えませんでした。日本語ですら、自分の心臓の疾患の名称を正しく覚えていないくらいです。

だったら、日本人のGPに予約を入れれば?

眉間に皺を寄せている僕に、ダニエルが日本語のフリーペーパーを広げて、日本語で受診出来るクリニックの広告を指さしました。
なるほど、その手があったか。
シドニーには日本語で予約も受診も出来るクリニックがいくつかあったのです。
普通の一般開業医よりは少し高くつくようでしたが、仕事先の人事からは、ビザ取得に要する費用は後で必要経費として申請しても構わないと言われていたので、僕は早速その中の一つのクリニックに予約を入れたのでした。
日本語というだけで、これほどストレスを感じずにものごとを進めることが出来るのは不思議なものでした。

翌朝、僕は仕事の前にそのクリニックを訪れました。
僕は日本人の女医に健康診断を受けた医療機関から届いた通知を見せました。
僕は胸に聴診器をあてられ、血圧を測られました。そのことに何の意味があるのか僕には分りませんでしたが、僕は彼女の好きなようにさせておくのでした。

じゃ、受付で専門医の予約してもらって下さいね。

女医は僕にそう告げて、5分足らずの診察を終えました。
とても感じの良い先生だったのですが、僕には本当にこの先生を通して専門医の予約をする必要があるのかどうか少し疑問に思われました。それほど、簡単な診察だったのです。
どちらにしろ専門医の診断書が必要なのには変わらないので、そもそもこの診察自体が無駄なような気もしていたのです。

受付けの女性は、僕に代わって超音波検査と循環器内科専門医の予約を入れてくれました。そのクリニックと提携している病院のようです。

あら、メディケアカードはお持ちではないんですか?

僕が支払いを済ませようとした時、受付の女性は少し驚いたように、僕にそう尋ねました。
彼女によると、日本の国民健康保険のような役割をするメディケアに加入していない人は、GPを通さなくても直接専門医の予約が出来たそうなのです。

それでは、本日の診察料は90ドルになります。

僕はその高額な請求額にたじろぎながらも清算を済ませました。
なにはともあれ、僕は無事に専門医に予約を入れてもらえたのです。この90ドルは勤め先に後で必要経費として請求出来ます。
少しでもストレスを回避できたのは、その時の僕にとってはとても良いことでした。しかし、それにしても高くつくものだな、と僕はしみじみ思わずにはいられないのでした。

健常者と全く変わりない生活を送っている僕にとって、これらのことはたいへんなストレスとなって僕に圧し掛かります。そして、諦め切れないことに遭遇し、それでも諦めなければならない時、そのストレスは頂点に達します。自分ではどうしようもありません。そう生まれてきてしまったのですから。僕はそんな時、自分をなだめるのに必至です。だからと言って、自分をかわいそうと思うことはありません。理不尽と思いながらも、世の中の仕組みを理解しようとします。30年以上もなんの問題もなく生きてきたからといって、臨床例のない疾患に対してオーストラリア政府が慎重になるのは当然です。もし万が一何か起こった時、僕がその高額になるであろう医療費を負担することが出来ない場合は、オーストラリア政府がその金額を負担しなければならない可能性があるのです。そう考えれば、僕の申請したビザが却下されることになったとしても、至極当然なのです。
僕はいつだって自分に言い聞かせてきました。誰だってリスクを負いたくはないのです。

僕を担当した循環器内科の専門医もそうでした。
初めて目にする疾患に、彼は戸惑いを隠せずに、僕の前でただひたすら頭を抱えるばかりなのでした。
すべては彼の診断に委ねられていました。
僕のストレスは沸点に達し、蒸発し、彼の額に水滴となって現れます。水滴は額を流れ落ち、彼は手の甲でそれを拭いながら僕に言うのでした。

I don't know... I'm sorry, but I don't know...
(分らない・・・。 君には悪いけど、僕には分らないよ・・・)

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posted by ゆうすけ at 10:35| Comment(3) | TrackBack(0) | ワーキングホリデー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。私も今年30歳を迎えますが、ワーホリを考えています。(オーストラリアではありませんが。)同じ世代でワーホリへ行かれたゆうすけさんのブログ、すごく読みいってしまいました。まだ、申請もしていないし、どうするかは決意できていないのですが、背中を押すために帰国されてからのお話もすごく気になります。もし、お嫌でなければお聞かせいただけると幸いです!
Posted by miki at 2015年01月05日 20:54
> mikiさん、
コメントありがとうございます。
日本に帰国してからのことが(も)心配なのかな?
ワーホリに行って本当に良かったと思う人がたくさんいるのと同様に、ワーホリになんか行かなければ良かったと思う人もたくさんいるのだと僕は思っています。
そして、それはワーホリ中にその人がどう過ごしたかに依るのだと思うんです。
良い思い出で終わらせる人もいれば、嫌な思い出で終わらせてしまう人もいるし、キャリアアップに繋げる人もいれば、キャリアダウンになってしまった人もいると思います。
でも、それは日本に残っていてもワーホリに出掛けたとしてもきっと同じことですよね。場所は日本であれ海外であれ、結局はその人の日々の過ごし方の積み重ねに依るのですから。
と、こんなことを書いている僕自身はどうなんだと言うと、実は僕はまだシドニーにいるんです(笑)。
帰国するタイミングをみすみす逃し、未だにシドニー在住です。後悔なんかはしていませんし、やはりあの日に日本を発って良かったなと今でも思っています。
mikiさんもたくさん悩んでから決断して下さい。海外に出ることにしても、日本に残ることにしても、自分の気持ちに素直に行動すれば、きっと良い結果になると思いますよ。
応援しています。
コメント本当にありがとうございました。
Posted by ゆうすけ at 2015年01月06日 07:46
お返事くださってありがとうございます!!
まだシドニーにいらっしゃったんですね!それは予想外でした(笑)
たしかにおっしゃるとおりで、どう過ごすかでその時のことを後悔するかは変わってきますし、日本にいてもそれはきっと同じことなんですよね。
まだ決断はできていませんが、自分の行動次第ということを旨に期限ギリギリまで考えてみようと思いました☆
返信、本当にありがとうございます!!
シドニー生活、楽しんでくださいね^^
Posted by miki at 2015年01月11日 23:42
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